皐月の色…若苗色
皐月の色…若苗色
吹き渡る風がさわやかになる5月。5月の色は「若苗色」。
稲の苗がではじめたころの緑色で、田植えの頃には「苗色」になります。
稲の苗が「若苗色」の頃、山の木々は若葉が出そろって「若葉色」に、そして田に水が入る頃には「萌黄」になります。
一面の緑に包まれるさわやかな季節を楽しみたいものですね。
佐保姫と竜田姫
佐保姫の糸染め掛くる青柳を 吹きな乱りそ春の山風
平兼盛『詞花集』
春の季語「佐保姫」は奈良の平城京の東、佐保山の女神。
柔らかな春霞をまとう若々しい女神で、染物屋機織りをつかさどるとされています。
「桜」の春霞と「若葉色」「萌黄」などで彩られた山の美しさを、昔の人は佐保姫の着物のように見たのでしょうね。
「佐保姫」と一対になるのが「竜田姫」で、平城京の西にある「竜田山」の女神です。
千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは
在原業平朝臣 古今集
紅葉の名所として古くから知られた竜田山。
佐保姫が染物や機織りの神、竜田姫は裁縫や染物の神として信仰されていました。
春霞と新緑をまとう佐保姫と、紅葉をまとう竜田姫。
奈良時代の頃から、そしてこれからも愛されていく季節の言葉です。