やよいのことば
弥生は3月の和名
弥生(やよい)は3月の和名ですが、春の花の美しさを彷彿させる美しい言葉です。
弥生の「弥」は、いよいよ・ますますという意味で、「生」は草木が芽吹くこと。
「弥生(いやおい)」がなまって「やよい」と呼ぶようになりました。
ここでは「やよい」にまつわる昔の言葉をまとめました。
ももはじめてさく
両の手に桃とさくらや草の餅 松尾芭蕉
日本橋橘町の借家で質素に暮らしていた芭蕉の元にも春が来ました。
桃始笑(ももはじめてさく)は3月10日~14日頃。
桃の花が咲き始める頃。
花が咲くことを「笑う」と表現する。
品のよい言葉です。
ところで、桃と梅と桜の花。
どれも春に咲くピンク系の花で紛らわしいのですが、見分け方があります。
【梅】
花弁の先が丸く、花柄がほとんどないので枝にくっつくように花が咲く。
【桃】
花弁の先が尖っていて、花柄が短いので枝に沿うように花が咲く。
【桜】
・花弁の先が割れていて、花柄が非常に長く、枝からこぼれんばかりに花が咲く。
それぞれに微妙に違いますから、くらべてみるとわかります。
(2019.3.8)
さくらはじめてひらく
久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
(紀友則・古今和歌集)
百人一首にも登場する有名な歌です。
こんなに日の光が降りそそいでいるのどかな春の日なのに、どうして落着いた心もなく、桜の花は散り急ぐのだろうか
悲しいほどの澄んだ青空の下、雪のように音もなく散っていく桜の花が目に浮かびます。
花見の歴史は古く、平安貴族たちは桜を春の花の代表格として愛で、歌を詠み、花見の宴を開いて楽しんだと伝えられています。
江戸時代、三代将軍家光が上野や隅田河畔に桜を植え、八代将軍吉宗が飛鳥山に桜を植えたため、花見は庶民の春の行楽としても親しまれるようになりました。
上野や墨田川、飛鳥山は、今でも東京のお花見の名所になっています。
3月26日~30日は七十二候の桜始開(さくらはじめてひらく)にあたります。
今年は暖かいので1週間ほど桜の開花が早いそうです。
(2018.3.25)