神無月の色…桔梗色
桔梗は「朝顔」だった?
朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ
『万葉集』の読み人知らずの歌ですが、この朝顔は桔梗のことでした。
「朝顔」は奈良時代末期に薬用植物として渡来しましたが、「桔梗」は日本原産の植物なので、万葉集が成立した時代に「朝顔」と呼ばれていたのは「桔梗」ということになります。
薬用植物として渡来した「朝顔」は、その後、花を観賞するものとして、江戸時代に多様な品種が作られるようになりました。
秋の野に凛として咲く桔梗の紫は、とても印象に残るものですね。
神無月と神在月
旧暦の10月は「神無月(かんなづき)」と呼ばれ、全国の八百万の神様が、年に一度、「神議り(かむはかり)」を行って、人の運命や縁、来年の天候、農作物や酒の出来などを話し合うために、出雲大社に集まります。
出雲の「神議り(かむはかり)」の日程
10月1日に全国の神様は、留守居役の神様を残して出雲へ出発。
10月10日に出雲の稲佐の浜に神様が上陸。「神迎え神事」が行われ、出雲大社へ向かいます。
10月11日~17日 神議り(かむはかり・神様の会議)。
この期間中、出雲では「神在祭」が行われます。
全国各地では神様のいない10月を「神無月」と呼びますが、神様がたくさんいる出雲だけは10月を「神在月(かみありづき)」と呼びます。
10月17日に出雲大社で「神等去出祭(からさでさい)」が行われ、神様は出雲大社から出雲各地に移ります。
10月26日、出雲大社で「第二神等去出祭」が行われた後、集まった神様は出雲を出発し、全国へ帰っていきます。
神無月には、神様がほぼ1か月ほど神社を留守にすることになりますが、留守中には「留守神様(恵比寿神・金毘羅神・竃(かまど)神、道祖神)」などが神社や地域を守っています。
そして、神様が全国各地に戻った後、11月から「神議り」で定められた新しい運命やご縁がはじまります。