ながつきのことば
長月は9月の和名
長月は9月の異称で由来については、さまざまな説がありますが、秋分を境にだんだん夜が長くなっていくため「夜長月(よながつき)」が「長月」になったという説が有力です。
長月にまつわる昔の言葉をご紹介しましょう。
中秋の名月
9月7日から10月8日の間に訪れる満月の日は「十五夜・中秋の名月」と呼ばれ、古くからススキや秋草の花を飾り、月見団子・芋・枝豆・柿・栗など月を供えて宴を開く風習がありました。
月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月 (よみ人知らず)
毎月のように月を鑑賞する月があるけれど
名月を見る月といえば、まさに今月のこの月だね
江戸時代の作者不詳の作品ですが、私は大田南畝の歌だとひそかににらんでいるんですよ。
いつか、この歌の謎が解明される日がくることを祈っています。
(2018.9.24)
かみなりのこえおさむ
「秋の田の穂の上を照らす稲妻の光のまにもわれや忘るる」 (古今集 巻十一 五八四) よみ人知らず
七十二候 雷乃収声(かみなりのこえおさむ)
9月22日~27日、いわゆる「お彼岸」の頃。
もくもくと盛り上がる入道雲と夕立、夏の間に鳴り響いた雷が収まり、少し高くなった空にちりちりとした鱗雲が現れます。
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉の通り、残暑も落ち着き、秋の気候へと変わっていきます。
そして「雷」から「稲妻」へ。
落雷した田で稲が良く育ったため、稲穂は雷に感光して実るとされ、そこから稲の「妻」と呼ばれるようになりました。
まもなく実りの秋が訪れます。
(2018.9.21)
つばめさる
燕来て 亡き人問ん 此彼岸 炭太祇
炭太祇は江戸で生まれました。
40歳を過ぎて京都の大徳寺の僧となった後、島原遊郭に「不夜庵」を結び、与謝蕪村らと俳諧三昧(ざんまい)の生活を送った江戸中期の俳人です。
「つばめ」は「つばくらめ」とも呼ばれる春の季語ですが、秋の彼岸も近くなったせいか、この句を思い出しました。
9月17~21日ごろは「玄鳥去(つばめさる)」。
暖かくなる春先に日本にやってきたツバメが、暖かい南の地域へと帰っていく頃。
また来年。
(2018.9.17)
くさのつゆしろし
「ある人の、月ばかり面白きものはあらじと言ひしに、またひとり、露こそあはれなれとあらそひしこそをかしけれ」 徒然草
露は月とならぶ秋の代表的な季語です。
9月7日~11日は「くさのつゆしろし(草露白)」。
草花の上に降りた朝露が白く見える頃。
露が降りると、その日は晴れるそうです。
(2018.9.6)