文月の色…水色
文月の色…水色
大海の摺裳の、水の色はなやかに、あざあざとして、腰どもは固紋をぞ多くはしたる 『紫式部日記』
平安貴族が集まって、絢爛豪華な衣装の美しさを競う様子が目に浮かびます。
古来から愛されてきた「水色」ですが、水に色がついているわけではなく、海や川が晴れ渡った青い空を水面にうつしたさまを「水色」と呼んだのです。
文月…七夕の月
七夕の逢ふ夜の空のかげみえて 書きならべたる文ひろげ月
『蔵玉集』 藤原有家
中国では、空気が乾燥した陰暦七月に虫干しをする習慣がありました。
それが日本に伝わり、「文披月(ふみひろげづき)」として「文月」になったともいわれています。
平安時代には行われた宮中行事「七夕」では、桃や梨、なす、うり、干し鯛、アワビなどを星に供え、人々は香をたき、楽を奏で、詩歌を楽しみました。
このころは、里芋の葉にたまった夜露で墨を溶かし、神聖な梶の葉に和歌を書いて願いごとをしていましたが、江戸時代には、梶の葉のかわりに五色の短冊に願い事を書き、笹竹につるす、現在の七夕祭りに近い形になりました。
いつの時代なっても、星に祈りをささげる日本人の心は変わらないものです。