むつきのことば

睦月は1月の和名

 

正月飾り

 

睦月は「むつき」と読み、その語源については「始まる・元になる月」の「元月(もとつき)」、稲の実を水に浸す月を意味する「実月(むつき)」が転じたという説などがありますが、「睦び月(むすびつき)」が「睦月」に転じたという説が一番有力です。

「睦ぶ」とは、仲良くすること・仲睦まじいことという意味を持っています。

お正月に「睦び合い」の宴を、家族や親族が集まるお正月に行うことが由来です。

睦月にまつわる昔の言葉を集めてみました。

 

大寒

雪をかぶった山茶花

大寒の大々とした月よかな

小林一茶の句です。

大寒は冬至の1月20日ごろから2月3日までの15日間。
1年で最も寒い時期。

日本中で記録的な大雪が観測されていますが、まもなく立春。
春はもうすぐです。
(2018.1.26)

 

さわみずこおりつめる

凍りついた滝

 

うまそうな ゆきがふうわり ふわりかな (小林一茶)

昼間に大きな牡丹雪が降りはじめ、いつのまにか吹雪になりました。
大阪では珍しいことです。

昔の日本人は雪を表す言葉がたくさん残しています。

雪の美しさを表す「白雪」「雪花(せっか)」「深雪(みゆき)」
細やかに降る「細雪(ささめゆき)」
粉のように細かい雪を「粉雪」「米雪」
灰のようにふわふわ舞う雪は「灰雪」
うっすらと積もって、すぐ溶けてしまう雪は「泡雪」「淡雪」「沫雪(あわゆき)」
あたたかい時期に降る、玉の形をした雪を「玉雪」
ひとひらが大きな雪を「綿雪」「牡丹雪」「花びら雪」

いずれも大切にしていきたい言葉だと思います。

七十二候の水沢腹堅(さわみずこおりつめる)は1月25~29日。
沢の水が凍って厚く張りつめる頃。
一年で一番寒い時です。

(2017.1.24)

 

せりすなわちさかう

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姫路城西御屋敷跡庭園「好古園」

 

君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ

光孝天皇(15番)『古今集』春・21

『百人一首』にも登場する有名な歌です。

古今集の詞書には「仁和(にんな)の帝、皇子におはしましける時、人に若菜たまひける御歌」

「光孝天皇がまだ親王だった頃、大切な人の長寿を願って春の野草を贈った時に、それに添えた歌」と書かれています。

1月5日~1月9日頃を「芹乃栄(せりすなわちさかう)」と呼び、若菜を摘む習慣がありました。

若菜は薬や食料にする野草の総称で、新春に食べると長生きすると信じられてきました。
それが「七草粥」の行事の起源となったという説もあります。

せり(芹)
なずな(ぺんぺん草)
ごぎょう(母子草)
はこべら(小蘩蔞)
ほとけのざ(小鬼田平子)
すずな(蕪)
すずしろ(大根)

今は「七草がゆセット」としてスーパーに売られていたりしますが、昔は全部そろえるのが大変だったと思います。

大切な人の長寿を願って、しんしんと降る雪の中を、春の野草を摘みに行った光孝天皇の細やかな心遣いが偲ばれる、とても美しい歌ですね。

(2017.1.8)