弥生の色…桃色(ももはないろ)
弥生の色…桃色(ももはないろ)
つきそめの浅らの衣浅らかに思ひて妹に逢はむものかも
『万葉集』巻十二。
奈良時代から女性に愛された「ももはないろ桃色(ももはないろ)とは、桃の花のような淡い紅色のこと。
鴇色(ときいろ)よりも淡く、桜色(さくらいろ)よりも赤みが強い色。
古代では「桃」という字は「つき」と読まれていました。
万葉の時代からあった古い色名で、『日本書紀』にも「桃染布(つきそめぬの)」という記述が残っています。
古来より「桃」には魔を祓う力があるとされました。
旧暦3月3日に「桃の節句」として、女の子の健やかな成長を願って、ひな祭りが行われるのは、この時期に桃の花が咲くことに由来しています。
江戸時代には、女性の肌着や裏地によく使われた「ももはないろ」。昔も今も女性に愛されている色です。
「桃の花色」と「桃の実色」
「桃の色」を表現する言葉には「桃の花の色」と「桃の実の色」があります。
桃の花の鮮やかなピンクは「ピーチブロッサム(peach blossom)」、「ピーチ (peach)」 は桃の果実で、やや灰色味を帯びた薄いオレンジ色。
ちなみに「ピンク(Pink)」は「撫子色(なでしこいろ)」で、「桃(ももはないろ)」とは別の色です。
ややこしいですね。
弥生は「木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる、草木が生い茂る)月。
いよいよ春が来ます。