師走の色…常盤色(ときわいろ)

師走は常盤色

常盤色(ときわいろ)は、わずかに茶色みを含んだ濃い緑。

松や杉やモミなどの針葉樹の葉の色のことで、「常盤」とは「永遠に変わらぬもの」を意味します。

そして、西洋でも「エバーグリーン」と呼ばれる深い緑色が「永遠に変わらぬもの」の象徴として大切にされていました。

 

モミの木とクリスマス

Photo by 七彩(写真AC)

 

クリスマスにモミの木を飾る習慣は、古代ヨーロッパのゲルマン民族が、冬至の祭りで、モミの木を神様への贈り物として捧げていた風習が起源とされています。

モミの木は針葉樹で、冬でも変わらぬ「永遠の緑(エバーグリーン)」を保つ神聖な木。

キリスト教と結びついた古代ゲルマン民族の風習は、世界中にひろまりました。

 

新しい年を祝う常盤色

Photo by きぬさら(写真AC)

門松や思えば一夜三十年

松尾芭蕉

日本では、冬でも落葉しない松や杉を「永遠に続く繁栄の象徴」とし、その葉の色を「常盤色」とよんで大切にしてきました。

「常盤色」をした木の中でも、「松」は「祀る(まつる)」に通ずるとされて特に珍重されてきました。
年神様を迎えるために正月に「門松」を玄関に立てる習慣の起源は、平安時代の宮中で行われた「小松引き(その年の最初の子(ね)の日に小さな松を引き抜いてきて飾る行事)」だといわれています。

長寿と繁栄の願いを込めて「松」を飾る行事は、神聖な「松」に、成長の象徴の「竹」と、豊かさを象徴する「梅」を加えて「門松」の形になり、現在にも引き継がれています。

今年は新型コロナウイルスが猛威を振るった年でしたが、来年は穏やかなよい年になりますように。