かんなづきのことば
神無月は10月の和名
神無月は「かんなづき、かむなづき、かみなしづき」と読み、由来・語源には諸説がありますが、「神無月(かんなづき)」の「無(な)」が「の」にあたる連体助詞だとする説が有力です。
この説によれば。神無月は「神の月」となり、神を祀る月であることを意味になりますが、逆に、出雲大社のある島根県では、現在でも、この月を「神在月・神有月(かみありづき)」と呼ぶため、この月、全国の神々が出雲大社に集まり、諸国に神が留守でいなくなるとする説もあります。
神無月にちなんだ昔の言葉をまとめました。
こさめときどきふる
かきくらし 時雨るる空をながめつつ 思ひこそやれ神なびの森
紀貫之 拾遺和歌集
(あたり一面を暗くして時雨が降る空を眺めながら、神が宿る森を思いを馳せている)
10月28日~11月1日は霎時施(こさめときどきふる)
時雨は降ったりやんだりする小雨のことで、秋の末から冬の初めころのものをいいます。
時雨の合間の晴れの日は、すこしものがなしい感じがして、私は好きですね。
(2018.10.27)
しもはじめてふる
初霜や小笹が下のえびかづら 惟然
江戸時代中期の俳人、広瀬惟然(ひろせいぜん)は晩年の芭蕉の弟子で、口語調の軽妙洒脱な句風の作品で知られています。
霜は、空気中の水蒸気が、0℃以下に冷えた物体の表面に、氷の結晶として堆積したもの。
10月23日~10月27日は『霜始降(しもはじめてふる)』。
氷の結晶である、霜がはじめて降りる頃。
季節は秋から冬へ。ゆっくりと移り変わっていきます。
(2018.10.23)
きくのはなひらく
露ながら 折りてかざさむ 菊の花 老いせぬ秋の 久しかるべく
紀友則
(露があるままでも、折ってこの菊の花を頭に挿して飾ろう、老いることない秋がずっと続くよう)
10月13日~10月17日は七十二候の「菊花開(きくのはなひらく)」。
昔、陰暦九月九日は長寿を祈る「重陽の節供」でした。
この前夜、菊の花に被せておいた綿をとり、菊の香と露を含んだ綿で顔などを拭うと、老いをはらえるとされ、この時開かれる「菊花の宴」は菊の花びらを浮かべた菊酒を飲んで祝いました。
(2018.10.13)