『「先生に聞きに行きませう。」 と、花子さんは、その貝をもつて、先生のところへ走つて行きました。』

この文例が作成されたのは昭和21年3月。
文部省で編修・作成する教科書や文書などの国語の表記法を統一し、その基準を示すために、文部省教科書局調査課国語調査室が編纂した4冊の冊子の中にあります。

昭和21年(1946)年、今から70年前に「正しい文章の書き方」と決められたものですが、現在でも一部が公用文、学校教育その他で参考にされています。

たった70年で「正しい日本語表記」が、ここまで変わってしまうなんて。

正しい日本語ってなんだろう?

日本の昔の文章、古文や漢文を勉強してきた私には、「この文章が絶対正しい」と言い切る自信がありません。

文化庁第3回国語審議委員会は『正書法の問題 正書法について(報告)』で、

『「現代かなづかい」は,「大体,現代語音にもとづいて,現代語をかなで書きあらわす場合の準則」であるから,その適用として示された中には,必ずしも現代語音にもとづかないものがある。「現代かなづかい」は歴史的かなづかいでないことはもちろん,音韻表記としても徹底的なものではない。』

と、正しい日本語表記が確立されていないことを認めています。

そして『正書法について(報告)2』で、

『われわれは正書法の確立について,今後さらに広く実践と研究が行われることを期待するものである。』

と、今後の研究に期待している状態。

言葉は時代によって、どんどん変わっていきます。

私はライティングアドバイザーとして、他人の文章を「正しい状態に直す」のではなく、「悪いところだけを直す」ように心がけているのは、そのためなのです。
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