子どものころから本が好きでした。

将来は本屋さんになりたいと思いました。

子どものころから「作文がうまいね、将来は作家になれば」と言われてきました。

でも、たくさん本を読んでいると、
私が書けないような美しい物語、鋭い表現をする人が、たくさんいたんです。

「世の中には、自分が一生追っても追いつけない才能がある。
この世にある貴重なもの、美しいものを見つけて、他の人に伝える仕事をしたい」

そう思うようになりました。

高校時代に3年間図書委員をしていて、司書補の先生から、
「利用者にとって必要な本を探しておすすめする「図書館司書」という職業があるよ。
「レファレンス」という仕事は、向いてるんじゃないかな」
とアドバイスを受けました。

「よい本を紹介する仕事につきたい」

そう思って、本屋でアルバイトしたこともあります。

「あ、それ、売れないから。開けないで」

取次から送られてきた本を、段ボール箱に入れたまま、
店の片隅に積み上げておくように、店長に言われました。
作家が一生懸命書いた本は、お客さんと出会うこともなく、
そのまま返本され、出版社で断裁される。

中身の「よい・悪い」は関係ない。
実際に並べてみて「売れた・売れない」ではなく、
「売れそう・売れなさそう」がすべて。
それが現実でした。

昭和61年、図書館司書の資格を取って、短大を卒業しました。
当時は、図書館や司書の重要性は認識されておらず、
求人はまったくない状態。
仕方なく別の職業に就きました。

今のように図書館が派遣やアルバイトで司書を雇う時代ではなく、
正職員になれる限界の年齢は27歳。
司書の募集は数年に一度しかなく、最後のチャンスが来た時に義母がガンで倒れました。
アルバイトの司書は「レファレンス」をさせてもらえないし、
時給は安くて任期は1年、その先の保証はありません。
現在の司書の仕事は、私がイメージしていたものとかけ離れたものなので、
司書になっていてたら幸せだったのかは、よくわからないのです。

ただ、今は、子どもの頃にイメージした仕事に近いことができているので
運はいいのかもしれません。